2008年5月18日日曜日

インターンの日々



写真:6Ave, 35Stにある附属屋さん。驚くほど種類が豊富。ユザワヤの比ではない。

さて、インターンとしてトレーニングを始めて一ヶ月が過ぎ、最近の私の仕事状況はどうなっているのか?というと、今のところ何でも屋という感じ。一番責任の重い仕事は、翌月のドレスのオーダーをまとめてどれだけの生地や附属が必要で、顧客に合ったパターンのサイズがあるかどうかを調べ発注をかけるという、いわば生産管理。会社の資金繰りに関わってくる業務なので間違いのないようにとても神経を使う。そして、発注した物はこちらから出向いて取りに行く、というやり方。これもインターンの仕事。うちの会社のあるSOHOと、日本で言う日暮里のようなGarment districtは地下鉄で数駅という近さだけど、いちいち取りに行くなんてびっくり。日本のアパレルはどんなに小さい会社で、発注数が少なくても送りが当たり前だったし、または生地や附属屋の営業が持ってきてくれたものだった。そして、こちらの生地屋はたたみで渡すのではなく、ロール状にするのが一般的なようで、持ち運びがちょっと大変。先日は発注数が多く重かったので生地ロールを肩に担ぐしかなかった。NYのミッドタウンで、「毎度~、佐川急便ですー!」
あとは、レギュラーパターンを顧客サイズに直したり、裁断を手伝ったり、トワルを縫ったり、買い物に行ったり、EXCELやWORDで書類を作ったり、言われたことは何でもやる。

社内のパタンナーは一人だけ、イギリス紳士風のおじ様、ML。実際どこの出身の人かまだ聞いたことがないのでわからないけど、そんな雰囲気。彼とのコミュニケーションにちょっと苦戦している。まず、何か質問しても必要最低限のことしか教えてくれないし、彼の英語はとても聞き取りにくい。そして、彼の仕事の範疇でないことは、「I don't know.」で終わってしまう。それ以上のことは聞き辛い。なんだか壁がある。ここで働き始めて一番感じるのが、仕事の教え方が丁寧でないところ。単に文化・習慣の違いからくるギャップかな。皆悪い人ではないし、意地悪されてるわけでもないのはよくわかるんだけど、日本だったら大抵の場合相手が業務内容を理解できるように、間違いを起こさないように教えるけど、ここではとにかく「これやっといて、次はこれ」と、まだまだ会社の流れがほとんどわかっていない相手に細かい説明なしに頼む。なのでこちらからたくさん質問しないといけないし、後になって、「頼むときにこのポイントを教えておいてくれれば二度手間にならずに済んだのに!」ということが度々起こるし、ミスも起こしやすい。そして、質問したい相手に限って皆威圧的なので、こちらの意見がとても言いにくい。特に英語だとなおさら。英会話に関して実感するのは、親しみやすい相手だと聞き取りやすいし、こちらの英語も出てくるものだけど、威圧的な相手だと聞き取りづらく、こちらの言葉も固まってしまいがち、ということ。特に私は強いキャラクターではないので、そういう人とのやり取りに大きな心理的負担と恐れを感じてしまう。だからと言ってわからないままにすることもできないし、避けることもできない。こちらのアプローチの仕方を考え工夫してより良く仕事を進められるようにするしかない。忍耐や謙虚さを身につけることを覚えさせられる。「うっ」と思う度にみことばや、イエス様の愛が私の心を守ってくれる。感情的な戦いはあるけど、感情に流されてしまわないように助けてくれる。

そんな苦労はあってもまだまだ未知数なNYのドレスメーカーでの経験は面白い。思考をフル回転させながらの日々だけど、「生きてるな~」と思う。日本で使う必要のなかった感覚が目覚めるというか…。
ちょっとオアシス的存在なのが裁断のおじさんNS。優しくて面白い。彼は日本語に興味があるらしく、私やもう一人の日本人インターンのAちゃんによく聞いてくる。最近は「どういたしまして」を覚えて、私が彼に「Thank you」と言うと、「ドーイタシマシテ」と怪しいイントネーションで答えるので笑わせてくれる。それを聞いたポーランド出身のHNは、「今なんて言ったの?」とNSに尋ね、彼が説明すると、「私の国の”Who are you?”に相当する言葉に似てる!」と反応していた。
そんなひと時が私をなごませてくれる。

2008年5月11日日曜日

でもやっぱりこの街が好き

前回までの4話はNYに来てから2週間以内に経験したことで、2~3週目位がきつさのピークだった。吹き出物が顔中に現れ、明らかに痩せ、ある日疲れと頭痛で勤務中に吐き気をもよおしトイレに駆け込んだ。それを境に序々に落ち着いてきている。相変わらず何かと不自由なことに毎日出くわすけれど、そのこと自体に慣れてきたように思う。サバイバルの最中でも親切な人に出会ったり、ありがたいことも色々与えられていたのだけど感謝にフォーカスする余裕がなかった。例えばある時、地下鉄の乗り換えがよくわからなくなって、ホームで地下鉄マップをしげしげと見ていたら、さわやかな青年が「May I help you?」と聞いてくれ、私の目的地までどう行けばいいのか丁寧に教えてくれ、電車が来るまで世間話になった。「僕はNYに来て10年になるけど、初めの頃はホントよく迷ったよ!君はどれ位滞在する予定?長く住みたい?じゃあグリーンカードがんばりなよ、イェイ!!」みたいな、妙に明るいノリ。電車が来るとこれまたさわやかに去って行った。迷ってしかめっ面になりそうな時に与えられたこの助けはとても心を軽くしてくれた。また、インターネット契約をした時の店員がこれまたとても親切で愉快な人だった。日本と契約スタイルが違うのでよくわからないことが多かったのだけど、丁寧に細かく、時折ジョークを交えながら教えてくれて、さらに、「もし何か困ったことがあったら遠慮なく携帯に電話しな!」と携帯の番号まで教えてくれた。そして帰るときには「じゃあ、気をつけて帰れよー、Thank you!!」と言ってハイファイブ、パシッ。日本ではこんな軽いノリの店員に会ったことがない。大変さを感じていた中だったのでありがたみも大きかった。

1ヶ月が過ぎて、やっぱり私はNYが好きなんだなと実感するようになってきた。ここで与えられているすべての経験が恵みに思える。一番のポイントは、ここには世界中の人が集まってきて共存しているということ。どんな人に出会っても驚かなくなる位それぞれが個性的に生きている。私の職場を見てみても、十数人の小さい会社だけど、アメリカ・日本はもちろん、カナダ、ペルー、中国、ポーランド、イスラエル、etc の人々が共に働いていて、もちろん基本は英語だけどあらゆる言語が飛び交っている。国境を越えて一緒に仕事ができるなんてとても素敵なことだな、と思う。
地下鉄に乗るとつくづく感じるけれど、ほんとに色んな人々がいて、見ていて飽きない。地下鉄の主要駅には各国のストリートミュージシャンたちが朝から晩までそれぞれ色んな所で演奏している。職場へと急ぐある朝、地下鉄を乗り換えるために駅のコンコースを歩いていると、パーカッションと鉄琴の、私好みの音楽が聞こえてきた。ドレッドの、予想通りアフリカンらしき人が演奏していたのだが、仕事前に心が癒されちょっぴり幸せな気持ちをもらえた。急いでなかったら箱に数ドル入れたかったな。

そしてもう一つ気に入っていることは、みんな基本的に気軽であるということ。最近はもう店で色々と聞いたりすることにも慣れてきたけど、というか店のシステムや値段など、表示が不親切すぎて聞かないとよくわからないことだらけなので、地元の人であっても聞きまくっている。それがここでは普通なんだということがわかってきた。「この地下鉄のラインはこの駅に行く?」なんて質問したりされたりすることはしょっちゅう。周りにいる2、3人がこうだああだと答えてくれることも珍しくない。先日は隣に座ってた人にいきなり、「コンプレイン(complain)のスペルはどうだっけ?」などと突然聞かれたり。日常的に面白いことに遭遇する。

昨日はタイムズスクエアの駅構内で、ホームレスらしきおじさんが誰にでもなく大きな声で聖書を読んでいた。とても熱心な様子で。そういえば先日もホームレスのおばさんが同じようなことをしていたな。と思ったその時、ラザロの話を思い出した。乞食だった彼は地上では良いものを得られなかったけど天国で豊かに与えられたように、きっと神様を信じてなりふりかまわず一生懸命聖書を読んでいる彼らは神様に喜ばれ、大きく報われるだろうな、と思って彼らへの尊敬と感動が与えられた。

2008年5月3日土曜日

サバイバル その2


ここNYでは、慣れていないと買い物一つもあなどれない。
日本を発つ時、持って行く荷物がはるかに重量オーバーになってしまい、とにかく必要最低限の荷物にまとめ、NYでも買える低価格の物はみんな置いていくことにしたのであった。
ここでちょっと余談。ユナイテッド航空のエコノミーは機内に預けられる荷物の個数が2個、重量が23kgまで、とサイトに書いてあったのだが私は削りに削ってもどうしても40kgを切ることはできなかった。でも実際搭乗手続きをしてみたところ、1個あたりの荷物の重量制限が23kgで、合計46kgまでは大丈夫だったことが判明!しかし、私は大きなスーツケースが30kg、小さいスーツケースに10kgという配分だったため、結局超過料金3000円を払う破目に…。「もっとわかりやすく書いておいてくれればもっと持ってこれたし重さの配分も考えられたのに!!」と心の中で叫んでいた。今になって思えば、直接そう伝えればよかったな。今後アメリカに長期で行く方、参考にしてくださいね。
話をNYでの買い物に戻すと、そんなわけでこちらNYでヘアケア、コンタクトレンズ用品、石鹸等を買う必要があり、わりと早々に必要になるこれらの物を早く揃えたいと思ってた。ドラッグストアはあちこちで見かけるので皆簡単に購入できるだろうと思っていたのだが、こちらのドラッグストアの店内は日本に比べて相当広く、ヘアムースなどはたくさんの種類の中からどれを買えばいいのかよくわからない。とりあえず自分のヘアスタイルのニーズに合ったお手頃なものを買ってみたのだが、匂いがかなりきつかった。石鹸も1個だけ買いたかったのだが3個パックとかそれ以上のものばかりで、ようやく単品があったので買ってみたらこれまた石鹸らしくない変な香り。はぁぁ。そして極めつけはコンタクトの保存液。私はハードレンズを使用しているのだが、置いてあるのはソフトレンズ用ばかり。たくさん置いてあるので一つ一つ確認してみるのだが、ない。そして知らない単語が色々書いてあるので、いつも持ち歩いている電子辞書で調べてみたりする。でもハードレンズに相当するような単語ではない。ニューヨークにはハードレンズを使ってる人はいないの!?と思い店員に聞いてみる。すると、「ハード用の物はそう書いてあるわよ」と店員。「でも探しても見つからないから聞いてるんだけど」と私。「じゃ、ないわね」と店員。以上。探そうともしてくれない。なんて冷たいんだろう…。その後3件ほど色んな地域のドラッグストアを見てみたのだが、ない。もう疲れた。また今度にしよう。
アメリカの食料品も、どれがおいしいのか今ひとつわからない。貴重な日本人の友達(姉妹)に教えてもらったオーガニックのお店「WHOLE FOODS」や、日本食材のお店「サンライズ」「JASマート」、または近所のスーパーで悩み迷いながら選んでいく。日本食材は迷わず選べるのだが割高なのでけっこう躊躇してしまう。
そして、新居のルームメイトはおばあちゃんなのでパソコンを持っていない。当然回線もない。困っていた。プロバイダ契約しないといけないのかな?それともUSBか何かを買えばワイヤレスで使えるのか?よくわからないので電気屋というかモバイル&パソコンショップのような「BEST BUY」の店員に聞いてみると、専用のUSBを買えばプロバイダなしでもネット接続できるという。でもけっこうなお値段。どうしよう。ほんとにこれで大丈夫なのか…?でも早くメールとかしたいしネットが使えないのは非常に困るけど、うーん、と悩んで結局その日は買うのをやめた。
帰り道、たかがちょっとした買い物に労力を費やし、不親切な店員たちにすっかり疲れ、地下鉄の中でお祈りせずにはいられなかった。”神様、私は日本でどれ程便利な中に暮らしていたのでしょう。私はここNYで、単身で、たかが買い物でこんなに気落ちして疲れてしまっています。でもイエス様も人間の世界でたくさんの孤独や苦労を経験して、私の疲れを慰めてくださるんですね…。” 混み合っていてガタゴト音を立てて揺れるマンハッタンの地下鉄の中、上を向いて、涙をこらえた。